映像技術解説

テレビドラマや音楽イベントでのスクリプター業務の違いについて

こんにちは、撮れ高スタッフの宮坂です。

今回は、音楽イベント収録とドラマにおいて2つの顔を持つ、スクリプターの業務をご紹介いたします。なお、スクリプターについては過去に『スクリプターの仕事について』でも紹介しているので、そちらご覧ください。

音楽ライブなどのエンドロールでは、スクリプターは大抵【scripter】と書かれていますが、これは和製英語であり、正確には、【script writer】(直訳で”台本作家”)と表記するのが正しいようです。また、ドラマや映画などでは【script supervisor】とも書かれています。

では、スクリプターはそれぞれの現場でどんな仕事をしているのか?

まず、音楽イベント・ライブでは『指示出し』ともいわれるように、監督の決めた構成に従ってカメラマンに指示を出し続けています。例えば大勢いるアイドルグループのライブで画出しや収録を行う場合、必ず押さえたいカット(シーン)があります。もちろん事前に技打ち(技術部の打ち合わせ)は行いますが、何人ものメンバーが、何度も入れ替わりながら、何曲も歌っていたら・・・どんなに慣れたカメラマンでも1つくらい撮りこぼしてしまうかもしれませんよね。ここで活躍するのがスクリプターです。時には衣装上の特徴も交えつつ、『何小節後に、何カメで、誰(の何)を狙うか』や『上手から歌いながら歩いて入って、センターで立ち止まり右手を上げた時に狙う』など、常に先行して細かく指示を出します。特に生でスイッチングしている画出しには欠かせない役目ですよね。

もう1つの顔、ドラマや映画におけるスクリプターは、【script supervisor】と表記されるように、台本上の管理者です。役者2人が部屋に入るシーンで、外からのバックショットと中から受ける画が欲しい場合は、もちろん編集が必要です。極端に言えば、送り込んだ画に受けのカメラが見切れるかもしれないからです。その際、「左右の立ち位置」「衣装」「小道具の有無や状態」などを覚えておいて、再開時に再現しないとつながらなくなってしまいます。これらを記録しているのがスクリプターです。

ドラマや映画は、完成して放送されている順にしていない場合がほとんどです。例えば向かい合うシーンをする時、1人を正面から撮るのともう1人を撮るのとでは、スタンドライトもカメラも移動しなければなりません。もし掛け合い(対話)シーンなら、それらの機材をまた戻さなければなりませんよね。しかも全く同じ位置に戻さなければ、編集で繋がらなくなってしまいます。そこで、1人が話す部分だけを一気にし、機材を移動して相手役をし、その後にルーズショットや2ショットと進めていけば、機材の移動なども最小限で済みますよね。編集で交互につないで向かい合わせる、というのが一般的です。

 

 

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