映像技術解説

デジタルカメラで撮影した写真をフィルム風に加工する方法

みなさんこんにちは!撮れ高映像部の西川です。

今回は趣味の話をしたいなと思います。

最近、「レトロ」という言葉を街でよく見かけます。古いものに逆に魅力を感じるという人が増え、古びた喫茶店にも人が集まり、カメラの世界でもフィルムカメラが若者の間で人気になったりしています。何を隠そう私自身も「レトロ」なものに惹かれつつある1人で、実際にフィルムカメラも親戚からのお下がりを含め、何台か持っています。

実際にフィルムカメラで撮ってみると分かるのですが、デジタルの世界で育ってきた人間にとって、フィルムカメラというのはとても難しいものです。上手く撮れなかったからもう一度撮り直すということが、簡単にはできません。(財力があれば何枚でもバシャバシャ撮れるのに…)そもそも、デジタルと違って撮ったものをその場で見返すことができないので、上手く撮れているのかどうかもその場ではわかりません。でも、やっぱりフィルム写真の質感は最高だし…。

そんな中たどり着いたのが、デジタルの写真をフィルム風に加工するという方法です。私は、この方法を使って休日にはフィルム風写真を量産しています。今回はその加工のポイントを紹介していきます。

個人的「フィルムっぽさ」は3つ

私が考える「フィルムっぽさ」は大きく言うと下記の3つです。

  1. 写真のざらつき
  2. 黒潰れした部分の黒色
  3. 色合い

その①:写真のざらつき

フィルムカメラで撮影 2020年大阪

こちらはフィルムで撮影した写真です。屋内で撮影すると特にわかりやすいのですが、フィルムで撮影するとデジタルで撮った時のノイズとはまた違う、なんとなく味のある粒子が乗ることが多く、この粒子を加工で乗せることによって、フィルムっぽさが増します。

SONY a7Ⅲで撮影 2021年東京

この東京スカイツリーはデジタルで撮影して加工したものです。加工に加えてレンズも、フィルム時代のレンズ(オールドレンズ)を使い、さらに絞り値F1.4で撮影しているので被写界深度が浅く、ボケ具合もフィルム感が増す要因となっています。

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その②:黒潰れした部分の黒色

これは、フィルムの種類や撮影環境によりますが、黒潰れしてしまった部分がたまに真っ黒ではない黒に映ることがあります。

フィルムカメラで撮影 2019年奈良

この写真のように、夜暗すぎて車の周囲以外は黒なのに、黒が黒ではありません。現像屋さんに現像を出すとこんな感じになることが多いのですが、個人的にはとてもフィルムっぽくていいなと感じます。この感じをデジタルの加工にも含めることで、柔らかい雰囲気の写真にすることができます。

SONY a7ⅲで撮影 2021年三重

こちらがそれを意識してレタッチした写真です。普通なら「眠い」と言われてしまいそうな写真ですが、あえて黒を締めないことでフィルム感を演出しました。

その③:色合い

デジタルカメラではホワイトバランスの設定がありますが、フィルムカメラにはそれがありませんので、下の写真のように暗部に少し緑が出ることが多いです。場面に応じてカラーのフィルムや、フィルターを使用すればきちんとした色での撮影も可能だと思いますが、私は逆にそのままで撮影した方が「レトロ」感が増す気がしていて、気に入っています。

フィルムカメラで撮影 2021年京都

ここまで紹介した、デジタルで撮影した写真でもすでに緑っぽい雰囲気にしたりしていましたが、この緑をデジタルの写真にも入れていくと、かなりフィルムっぽいと感じる写真に変化していきます。簡単に全体に緑を入れてもある程度「ぽく」はなると思いますが、一番はLightroomなどでハイライト、ミドル、シャドウの色を触れるところがあるので、そこでシャドウのみに緑をいれてみます。

SONY a7ⅲで撮影 2021年東京(フィルム風加工はノイズのみ)
SONY a7ⅲ 2021年東京(フィルム風色加工後)

ビフォーアフターで並べてみました。一枚目の写真にはノイズを追加してざらつきの再現のみしてあります。それに加え、シャドウ部分に緑を入れることで、フィルム感、レトロ感が出せたのではないかと思います。

ここまで紹介した3つのポイントを取り入れて、あとは細かい調整をすれば、フィルム風写真の完成です。この設定をプリセット化してしまえば、連写した写真だって、全部フィルムぽい写真になります。また、ピンボケしてしまって普段ならボツになってしまうような写真も、フィルム風加工をすれば味が出て世に出せる(?)写真に変身します。

実際にフィルムで撮影できるに越したことはないですが、気軽にフィルムを感じたい方はぜひ試してみてください。

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