映像技術解説

視聴者の感情を揺さぶるカメラワーク~ズームイン・ズームアウト・縦パン・横パンについて

こんにちは。撮れ高 映像部 佐々木です。

今回は映画やテレビ、PVなどで何気なく使われているカメラワークについてお話していきたいと思います。

カメラワークとは?

カメラワークというのは映画、テレビ、PVなどのにおいて、カメラ操作による映像表現技術です。皆さんの想像するドラマや映画は、監督や助監督が俳優さんや女優さんに演技付けをし、演出をしていくと言うものだと思います。もちろん、演技をつけることによって一つ一つのシチュエーションに合うように演出はされています。ですが、これだけでドラマや映画が構成されているわけではありません。

カメラの動きや速さによって、表現や視聴者の心理的印象を変えることができます。その時のシーンで効果的な場面表現をできるかはカメラマンの腕にかかっているわけです。カメラの動きとして、一番皆さんに馴染みのあるものであると「ズームイン」「ズームアウト」だと思います。この言葉は多くの方が聞いたことあると思います。

ズームインについて

ズームインは被写体に近づいていく動きで、視聴者の方に見てもらいたいものを強調するという意味で使われる事が多いです。他にもゆっくりと主人公や物に寄っていく(ズームイン)ことにより、視聴者の方は心理的に執着心が湧き、感情移入しやくすなるという効果があります。

ズームアウトについて

ズームインとは逆でズームアウトは被写体から離れる動きです。被写体への集中を解きたい時や被写体の置かれている状況をカメラワークのみで説明したいときなどに使われます。主人公からズームアウトをし、離れることにより主人公が今どこにいるのか、どんな状況なのかを視聴者の方が想像しやすくなります。また、ゆっくりと引いていく(ズームアウト)事により、悲しさや切なさ、孤独感を演出することが出来ます。

また、別の動きから表現される、映像作品でよく使われている『パン』についてもお話ししていきます。この動きでも、視聴者の感情を揺さぶる心理的表現を演出することが出来ます。このカメラワークも見たことのある方が多いのではないかと思います。パンには大きく分けて、縦パンと横パンの2つのカメラワークが存在します。

縦パン(パンアップ・パンダウン)について

縦パンとはカメラが上下に動く動きのことです。縦パンにもパンアップとパンダウンの2種類の動きがあり、パンアップとパンダウンの動きでも、表現や演出が変わってきます。パンアップと言うのは、下から上にカメラを振ることをいいます。被写体を下から上へ全身を写すカメラの動きは感情的表現とは関係ないですが、パンアップ演出の代表格の1つです。

パンアップの動きは、気持ちの高ぶりを表すため、登場人物の感情が豊かになる時やテンションが上がる時などに用いられる手法です。他にも、心境の変化を視聴者に伝えるために使われることもあります。その動きにより、視聴者の方は状況判断をしやすくなります。

次にパンダウンについてです。パンアップとは逆にパンダウンは上から下へ動くことを言い、人物の気持ちの落ち込みを表現するときに多く使われています。主人公の悲しみや孤独感、悩み事をしている情景を演出する際に多く使われているカメラワークです。

縦パンのカメラワークは、カメラを振る方向に明確な意味を持っており、映像に演出をつけることができます。

横パンについて

最後に横パンについてです。この動きは名前の通り、カメラを横に振る動きのことを言います。横パンは情景の説明に使われることや、シーンの切り替わりに使われることが多いです。景色などを横パンする事により、Fix(カメラ固定)よりも時の流れを演出できます。また、景色や人工物のような動かないものを魅力的に見せる技術として、昔から多く使われております。

他にも画が変わるごとにパンをする連続パンという技法もあります。この技法は、Fixではカバーすることのできない登場人物の感情の揺らぎを連続パンで表現されていたり、流れ去って行く時間を表現されています。意識して映像作品を見てみると頻繁に使われている技法だと分かります。

ズームイン・ズームアウト・縦パン・横パンの動きは、ドラマや映画以外にもアニメ作品などでも多く使われている技法です。感動的なシーンには必ずと言っていいほど、カメラワークがたくさん使われています。この技法を知っておく事で、映像作品の見方がもっと面白くなると思います。

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