映像技術解説

ネットワークを用いたワイヤレスタリーシステムを導入 【前編】

みなさんこんにちは、撮れ高 映像部スタッフの西川です。

突然ですが、「M5Stack」という製品をご存知でしょうか。

M5Stack


『M5Stack=中国深圳に拠点を持つスタートアップ企業。かつ、同社の代表製品の小型のマイコンモジュールである。』

Wikipedia

簡単にいうと、パソコンでプログラミングしたものをM5Stackに送り込むことで、スマートウォッチやラジコンカーを作ることができるものです。弊社では先日、この「M5Stack」を用いて作られたタリー「M5-TALLY」を購入し、実際に現場にて使用しましたので、良い点やうまくいかなかった事をご紹介していきます。基本的なタリーの役割については、下記の記事よりご覧ください。

関連記事:現場によって異なる『タリー』の使い方について

接続方法

まず、こちらのタリーを使用するには、BlackMagicDesain社のATEM シリーズが必要です。販売サイトには『動作確認環境 : Blackmagic ATEM mini(8.1.2)』とありますが、社内でチェックした際は ATEM Production Studio 4K でも動作しました。まずはATEMをLANケーブルを用いてネットワークと接続します。そしてPCとも接続してATEM Setup よりIPアドレスを確認します(ATEM Setup はBlackMagicのソフトのインストールが必要です)。次に、M5-TALLYの作業に移ります。SETTING よりSSIDとパスワードを選択/入力し、WiFi経由でATEMと同じネットワークに接続します。

※SSIDの選択画面で、接続可能なSSIDが表示されるまで時間がかかることがあり、待てば表示されるのか、それとも何か操作が必要なのかについては未だ不明であり、弊社でも検証を続けていきます。

続いて、SETTINGよりATEM IPを確認し、先ほどPCで確認したIPアドレスと同じになっているかを確認、設定します。そして、WiFiと接続完了し、ATEMとも接続されると”ATEM is connected”と表示され、接続成功です。

※ここでATEMと違うネットワークに接続していると、タリー本体とATEMの接続ができませんのでしっかり確認が必要です。

あとはSETTINGからカメラ番号(UNIT ID)を設定し、TALLYモードにすると設定完了、機能し始めます。SWITCHモードも使用できるようになっていますが、弊社では使用していないため割愛します。

設定の便利機能

ここまでの設定を、いくつもの個体に設定し直すのはとても時間がかかり、時間の限られた現場ではネックとなってしまいますが、それを解決する機能がM5-TALLYにはついています。まず、設定の完了した個体(Aとします)と、これから設定する個体(Bとします)をUSB Type-C to Type-C ケーブルで繋ぎます。

次に、SETTINGの、Aは[SHARE SETTINGS DATA] Bは[RECEIVE SETTING DATA]を選択。すると、Aの設定がまるまるBに転送され、UNIT IDを設定すればこれで完了です。これを繰り返すことで、複数個を使用する場合でも素早く簡単に設定をすることが可能です。

今回はここまでになります。後編は、実際に使用した現場と、起こったトラブルについてご紹介していこうと思います。

弊社では、ライブの生配信以外にも、コンサートなどの画出し・収録・中継、TV番組のロケ・収録、動画編集など、映像に関する業務について幅広く対応しております。お気軽に電話メールにてご連絡下さい。 

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