映像技術解説

スタジアムやスタジオ内にある中継用の『端子盤』について

こんにちは、撮れ高スタッフの宮坂です。今回は”端子盤”について書いていきます!

まず、端子盤とは、スタジアムやドームなどに設置されている中継用のケーブルコネクターがまとめられている設備で、基本的にはスタジアムやドームなどで壁の中をケーブルが通っていると考えても間違えではありません。

例えば、野球で言えば「バッターの構える表情を撮れるカメラ」や「両チームの監督を撮れるカメラ」「出塁したランナーを撮れるカメラ」など。競馬で言えば「スタートのゲートを撮れるカメラ」や「カーブを曲がった段階での順位がわかるように撮れるカメラ」「ゴールの瞬間を真横から撮れるカメラ」など、スポーツなどを中継する上では欠かせないカメラは多数あります。

では、毎回中継のたびに、例えば競馬なら毎週日曜日に、欠かせないカメラ、すなわち”いつもカメラがある位置”までカメラケーブルを引っ張ればいいのでしょうか??

確かにそれでもカメラを生かして中継はできます。しかしそれにはかなりの労力と時間がかかってしまいます。このような理由でスタジアムやドームなどを建設する段階から、中継車を停める位置を決め、そこから中継カメラを置くであろう場所や、その為に観客席をなくしているところには、ケーブルを埋めて繋げてあります。

中継車側にはすべての出先のコネクターが集まった端子盤があるので、そこから車へ、また出先でも同様に端子盤からカメラへ、それぞれ50メートルのケーブルで繋げば、会場内に600メートルのケーブルが埋まっている場合、競馬場のスタート位置なら700メートル分のケーブルをつないだことになります。(ケーブルの長さは会社によって異なります。) 

競馬などでも特に大きなタイトルでは、普段は置かないポジションにカメラを置いたりするので、1週間前からケーブルを引いたりしますが、端子盤のおかげでかなり仕事が少なくなっています。

ちなみに、ライブハウスなどではカメラ位置が決まりにくい為、通線口という穴が扉の脇にあったりします。前日セッティングや2日間に渡る公演の場合に、セキュリティの都合から、扉を施錠しなければならない場合などは、あらかじめ通線口を利用する事でケーブルを残したまま扉を閉めています。

スタジオ内にも端子盤はあります。近いのに?と思うかもしれませんが、端子盤がないと1箇所からケーブルが出るため、歌番組などで激しくカメラが動き回る場合に、くぐったり超えたりと、スムーズな移動ができなくなってしまいます。下手のカメラは下手から、上手は上手の端子盤から、と言うように出来るだけケーブルを捌きやすいように工夫します。

また、端子盤の何番を1Cとするか、何番を2Cとするか、それを決めるのが”パッチ盤”です。サブコントロールルームに1Cとして認識させたいカメラを6番の端子につなぐとします。6番の端子はそのままではカメラに火が入らないので、1Cと認識させるために1Cのパッチと6番の端子を短いパッチケーブルで繋ぎます。

その上でVE(ビデオエンジニア)が電源を入れるとカメラに電気が通り電源が入ります。中継メインの会社ではそれほど明確に区別していませんが、知っておくといつか役に立つと思います!

ほとんどの端子盤が新しくなりつつありますが、一昔前の「レモコネクター」を使っている端子盤もあります。この場合、現在主流の「多治見コネクター」は直接刺さらないので、変換ケーブルが必要になります。中継車も多治見コネクターが多いので、端子盤から中継車、端子盤からカメラの2本で1対の変換ケーブルを忘れずに準備しましょう!

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