みなさんこんにちは、撮れ高映像部の苅込です。
先日、映画の撮影現場でAカメに「ARRI ALEXA Mini」、Bカメに「ARRI AMIRA」というARRIの2カメ体制の現場に、撮影部サードとして参加してきましたのでご紹介します。

ARRI ALEXA Mini / AMIRAとはどんなカメラか
まずは今回使用した2台のカメラについて簡単にご紹介します。ARRI ALEXA Miniは、Super35mmサイズの「ALEV III」センサーを搭載した非常にコンパクトなデジタルシネマカメラです。ボディ単体には最低限の入出力しか備えておらず、ジンバルや特機、狭い車内など、サイズと軽さが求められる撮影に強みを持ちます。
一方のARRI AMIRAは、もともとドキュメンタリーやENG撮影を意識して設計されたワンマンオペレーション向けのカメラです。ショルダースタイルに最適化された長めのボディに大型液晶パネルや各種端子を標準搭載し、内蔵NDフィルターも備えているため、単体でも機動力の高い撮影が可能です。ALEXA MiniとAMIRAはどちらも同じALEV IIIセンサーを積んでいるので、トーンやスキントーンのマッチングは抜群なのですが、いざ撮影部サードとして現場でこの2台をケアするとなると、ボディの構造や運用の違いからくる細かい苦労が山積みでした。
同じARRIでも全く性格が違う、ALEXA MiniとAMIRAのボディ構造
まず現場に入って感じたのが、ボディの違いです。
AカメのALEXA Miniは非常にコンパクトな形です。狭い車内や特機に乗せるとき、ジンバルへの載せ替えには最高のサイズ感ですが、そのぶんボディ単体には入出力端子や操作ボタンがほとんどありません。ケージをガチガチに組み、Vマウントのバッテリープレートをロッドの後ろに逃がし、Boltやフォーカス受信用モーターの電源をどう分岐して引っ張るか、配線の取り回しが非常にシビアでした。
一方、BカメのAMIRAは、もともとドキュメンタリーやENGを意識したワンマン向けの設計です。ショルダースタイルに最適された長めのボディで、側面には使いやすい大型の液晶パネルがあり、オーディオや各端子もボディ自体に綺麗にまとまっています。
ただ、この2台が並ぶと、リグのサイズやパーツの共有がしづらいという問題が出てきます。
ベースプレートの高さ、トップハンドルの位置、15mmロッドと19mmロッドの混ざりなど、Aカメで使っているアクセサリーがそのままBカメに付けできない場面が多々ありました。特にセットチェンジの時、Aカメのマットボックスを外してBカメに回すといった動きが出たとき、ロッドの高さの微調整に手間取ってしまい、待たせてしまうことがありました。
ワイヤレスフォローフォーカス(WCU-4 / cforce)のセッティング
今回の現場で特に神経を使ったのが、ワイヤレスフォローフォーカスのセッティングでした。
ARRI純正のWCU-4を使い、レンズのフォーカスリングとアイリスリングにcforceモーターを噛ませる設定です。ALEXA Miniは内部に無線ARRI White Radioが内蔵されているため、余計な受信機をボディに乗せなくても、モーターをチェーンでカメラ本体に直接挿せばWCU-4とワイヤレスで同期できます。極限までシンプルにできるのはMiniの強みだったと思います。
しかし、BカメのAMIRAは違います。AMIRAにはMiniのようなワイヤレスレンズ制御の内蔵レシーバーが標準では備わっていません。そのため、外付けのモーターコントローラーや対応する受信用レシーバーを別途に仕込み、そこから電源と制御信号を取る必要がありました。
ここで悩ませたのが、電源の確保とケーブルの干渉です。
AMIRAのリグ周りにレシーバーを追加すると、それだけでD-TapやLemoの分岐が無くなってしまいます。さらに、モニター用SDIケーブル、ワイヤレス映像送信機のアンテナ、そしてフォーカスのモーターケーブルが乱れます。
特にBカメが手持ちで役者を追うシーンでは、カメラマンが激しく動くため、ケーブルが少しでもパツパツだと断線や抜けの原因になります。かといって長すぎてたるんでいると、役者の服や現場の小道具に引っかかるリスクがあります。パーマセルテープとガッファーテープを使い、カメラマンの肩や腕の動きを邪魔しない絶妙な逃げを作りながら配線を組む作業は、毎朝一番集中力を使う時間でした。
メディアとバッテリー管理
機材のセッティングだけでなく、消耗品の管理も2カメ体制は負担が単純に倍になります。
ALEXA Miniの記録メディアは「CFast 2.0」、AMIRAも同じく「CFast 2.0」を採用していたため、メディアの種類自体が共通だったのは救いでした。しかし、AカメとBカメでカードの管理が一緒になったら一発でアウトです。
「A-001」「B-001」といったラベリングを徹底し、撮影済みのカードはパーマセルで赤く封をして即座にチーフへ手渡す。空のカードは青いテープで区別して手元に戻す。このルールを絶対に崩さないようにしました。
バッテリーについても、AMIRAは消費電力が比較的高く、Miniも小型ながら周りのアクセサリー類から全部背面のVマウントから給電しているため、どちらも想像以上のスピードでバッテリーを消費していきます。
常に2台の残量インジケーターを交互に見張りながら、空になったVマウントを充電ベース挿して、充電済の予備を常に2本ずつバッグやEB-2にキープしておく。現場の合間は充電器とカメラの間を行き来していました。
2台のカメラを支えて見えたもの
ALEXA MiniとAMIRAという、同じセンサーを持ちながら異なる2台を同時に扱ったことで、カメラ単体の知識だけでなく、リグの組み方、電源の使い方、ワイヤレス機器の干渉など、撮影助手として必要なシステム全体の知識が一気に深まった現場になりました。
次に2カメ現場に入るときは、もっと綺麗に配線をまとめ、チーフやセカンドが何も言わなくても完璧な状態でカメラを渡せるサードになりたいと思います。
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