みなさんこんにちは、撮れ高映像部の苅込です。
先日、映画の撮影現場に撮影助手(サード)として参加してきましたのでご紹介します。

サードの手元のスピードが、そのまま現場の待ち時間になる
今回の現場で最も痛感したのは、自分の手元のスピードがそのまま現場の待ち時間になるという事実でした。カメラが動き出せなければ、監督も役者も照明部も全員が待つことになります。サードは撮影部の一番下のポジションですが、現場全体のテンポを左右する立ち位置なのだと身をもって理解しました。
サードの主な業務は、レンズ交換、バッテリーやメディアの管理、フィルターの脱着、モニターの設置やワイヤレスの管理、そして機材車やベース周りの整理整頓です。入る前にある程度頭では分かっていたつもりでしたが、実際に回っている現場に入ると全然違いました。頭で理解していることと、限られた秒数の中で手を動かせることは別物だと実感しています。
レンズ交換とフィルター脱着は数秒間の勝負
レンズ交換ひとつ取っても、指示が出てからケースを開けているようでは遅いです。芝居の流れや監督とのやり取りから次にどのミリ数が来そうかをある程度頭に入れておいて、すぐに手元から出せる状態にしておく必要があります。
外したレンズを受け取ってケースに収め、新しいレンズを渡すまでの数秒間、マウント内やレンズ面に埃が入らないよう細心の注意を払いつつも、手は止められません。フィルターも同じで、マットボックスに差し込む時に指紋や埃を絶対に付けないよう神経を使います。丁寧さと速さを同時に要求されるのが、この仕事の難しさだと感じました。
バッテリーは「落ちる前に交換する」
バッテリー管理も、常に残量を気にしておく必要がありました。カメラ本体だけではなく、モニターやワイヤレス、フォーカスのモーター周りまで全部動いているので、現場の至る所でバッテリーが減っていきます。
残量を把握しておいて、落ちる前に交換する。外したものはすぐに充電器に差して、フル充電の予備を常に手元にキープしておく。もし撮影中に電源が落ちたら自分の責任になるため、常にプレッシャーがありました。カットがかかった数十秒の間にどこまで手を回せるかで、次のテイクの入りが変わってきます。
最も頭と体を使ったのは整理整頓
そして今回、一番頭と体を使ったのが整理整頓です。ロケ現場は足場が悪い場所も多く、スペースも限られています。その中で、次に使うケースをどこに置くか、使い終わった機材をどうまとめるか。単に綺麗に並べるだけでは意味がありません。
次にすぐ取り出せる形で機材車やベースに配置しておかないと、セットチェンジのたびにバタバタしてしまいます。急な雨や砂埃への対策も含めて、状況に合わせて先回りして動く難しさを実感しました。整理整頓は片付けではなく、次のカットのための準備そのものだと考えを改めた場面です。
サードの腰袋に入っている定番の道具
こうした動きを支えているのが、腰袋の中身です。撮影部のサードはメンテナンスと養生が業務の中心になるため、以下のようなアイテムを携行します。
撮影部サードの道具
・ブロアー:レンズ交換時のマウント内やレンズ面のチリを瞬時に飛ばすためのもの。風量を重視して大きめのサイズが使われます。
・シルボン紙・無水エタノール:レンズやフィルターの油分、水滴、汚れを素早く拭き取るためのケア用品。
・白手袋(静電気防止手袋):マットボックスへのフィルター脱着時、ガラス面に指紋を絶対に付けないための必需品です。
・透明ゴミ袋(45L〜70L):急な雨や砂埃からカメラ、モニター、バッテリーケースを即座に守るための養生用。常にポケットに忍ばせておきます。
・パーマセルテープ(黒):糊残りが少なく手で簡単に切れる紙テープ。機材へのラベリングや仮止めに使います。
・ガッファーテープ(マット黒・カラー各種):強度のある布粘着テープで、手で素早く縦横に裂くことができます。モニター周りのSDIケーブルや電源コードを床に固定する「トラ張り」のほか、雨天養生の固定、機材ケースの識別など、しっかり留めたい場面で多用されます。
ポジションが変われば、持っている道具も変わる
同じ撮影部でも、担当するポジションによって腰袋の中身は全く異なります。現場で先輩方の道具を見せていただき、役割の違いがそのまま道具の違いになっていることがよく分かりました。
撮影部セカンド(2nd)は、フォーカス合わせ、被写体との距離測定、テイクごとの記録を担うため、計測と記録の道具が揃います。
撮影部セカンドの道具
・レーザー距離計(Leica DISTOなど)/コンベックス:センサー面から役者の目元までの距離を測る必須ツール。近距離や歩き芝居には布メジャーや金属コンベックスを使います。
・カッティングテープ(細幅ビニールテープ):赤・青・黄などの細いビニテ。役者の立ち位置(バミリ)や、フォーカスリングの目印に使います。
・水性ペン・フォーカスマーカー:フォローフォーカスのマーキングディスクに距離のアタリを書き込むためのペン。
・iPad(Scriptationなど)/カメラカルテ:レンズの焦点距離、T値、フィルター、カメラ高などの撮影データをテイクごとに記録・管理します。
撮影部チーフ(1st/フォーカスプラー)は、カメラリグの組み換えや剛性の確保、急なトラブル対処を担うため、信頼性の高い工具類が腰回りに集まります。
・マルチツール(LEATHERMANなど):プライヤー、ナイフ、ワイヤーカッターが一体になったもの。急な調整やパーツ外しに使います。
・六角レンチセット(ミリ・インチ両方):ケージ、ベースプレート、ロッドの増し締め用。シネマ機材は海外規格と国内・欧州規格が混在するため、両規格が必須です。
・マイナスドライバー(コインドライバー):三脚のクイックプレートやカメラ下部の太いネジを確実に締め込むための、刃先が厚く広いドライバー。
・気泡管水準器:三脚、ハイハット、スライダーの水平を素早く確認するための小型水準器。
撮影監督(DoP/Operator)は画作りの判断に特化し、画角や光のバランスをその場で確認するツールを携行します。
撮影監督の道具
・ディレクターズファインダー:カメラを据える前に、手持ちで焦点距離、画角、フレームの収まりを確認するためのファインダー。
・単体露出計/スポットメーター:被写体に当たる光の量や、キーライトとシャドウの比率を数値で測る計測器。
・コントラストビューグラス:高濃度のフィルターを通して肉眼で現場を見ることで、ハイライトの白飛びやシャドウの黒潰れの度合いをあらかじめ確認するツール。
今回の反省と次回への課題
朝から晩まで重いケースを運んでひたすら走っていたので体力的にはかなりきつく、自分の段取りの悪さで反省することばかりの現場でした。言われてから動いていては間に合わない場面が何度もあり、そのたびに数秒の遅れを作ってしまったと感じています。
それでも、カメラのすぐそばでワンカットずつ画が作られていくのを間近で見られたのは、何ものにも代えがたい経験になりました。同時に、道具ひとつ、テープ一巻きの扱い方で作業スピードが大きく変わることも実感しています。
まずは自分の腰回りの道具を確実に使いこなすこと。そして、次に何が必要になるかを先回りして動けるようになること。この2点を意識して、現場の動きを止めないサードを目指していきたいと思います。
お知らせ
当社では、映画・ドラマの撮影業務のほか、バラエティ番組の収録、ライブコンサートの中継・画出し、映像編集、ロケ、ミュージックビデオ(MV)、イベント収録、ライブ配信など映像に関する業務について幅広く対応可能です!
まずはお気軽に電話・メール・LINEにてご連絡ください。そして現在、共に会社を盛り上げてくれる仲間も大募集中!ご依頼・ご応募お待ちしております!!
株式会社撮れ高(03-6274-8982)
