こんにちは。撮れ高のそんです。
今年の春まで、関西で報道番組のカメラアシスタント(CA)として働いていました。現在は、歌番組やライブ配信、中継などエンタメ系の現場を中心に携わっています。
報道とエンタメ、どちらも映像を扱う仕事ですが、実際に両方の現場を経験してみると、求められることや現場の空気感にはっきりとした違いがあることに気づきました。今回は、その違いについて感じたことをまとめてみます。
1.求められるスピードの違い
報道現場では、「今この瞬間に起きていること」を映像に収めることが最優先です。事件・事故・災害といった突発的な出来事では、急な呼び出しも日常的にあります。時間に余裕があれば会社で機材を準備してから出発しますが、緊急の場合は移動中の車内で記者から状況を聞きながら機材を組み上げ、現場に到着した瞬間に撮影を始められる状態を整えることが求められます。段取りを考える時間が限られている中で、いかに素早く、正確に動けるかが問われる現場です。
一方、エンタメ現場では、本番前の準備に多くの時間をかけます。カメラの配置確認、ケーブルの配線チェック、各機材の動作確認など、本番をミスなく進めるために丁寧な事前準備が欠かせません。本番中に機材トラブルが起きれば、出演者や共演スタッフ全員に影響が及ぶため、「本番前に完璧な状態を作り上げる」という意識が現場全体に共有されています。
同じ「スピード」が求められる仕事でも、報道では「状況への素早い対応力」、エンタメでは「準備を確実にやり切る力」が重要だと感じました。どちらが楽ということはなく、それぞれの現場で求められる動き方がある、ということを実感しています。
2.チームの規模と動き方
報道取材では、カメラマンとCAの2人、あるいは記者を加えた少人数で動くことが基本でした。人数が少ない分、現場での判断を自分でしなければならない場面も多く、「次に何をすべきか」を常に考えながら動く必要がありました。少人数ゆえの機動力がある反面、一人ひとりの役割の比重が大きい環境です。
エンタメ現場では、関わるスタッフの人数が大幅に増えます。カメラ、VE(ビデオエンジニア)、音声、照明、配信、制作など、それぞれの担当が役割を持ち、連携しながら現場を動かしていきます。自分の担当だけを見ていればよいわけではなく、隣のセクションが今何をしているか、どのタイミングで何が必要になるかを把握しながら行動することが大切です。
人数が増えるほど、コミュニケーションの取り方や情報の共有が重要になります。「自分はこの作業をしています」「次はこちらを確認します」といった声かけや確認が、大きな現場をスムーズに進める上で欠かせないと感じています。報道現場での少人数での動き方に慣れていたこともあり、最初のうちはチームの全体像を把握するのに時間がかかりました。
3.機材の量と種類
報道現場では、機動力を最優先に考えます。カメラ、三脚、バッテリーなど必要最小限の機材を素早く持ち出し、どこへでも動ける体制を整えておくことが基本です。取材場所が突然変わることもあるため、荷物を増やしすぎないことが現場の鉄則でした。
エンタメ現場では、扱う機材の種類と量が大きく異なります。複数台のカメラ、長距離ケーブル、インカム、各種モニター、スイッチャー周辺の機器など、報道現場では触れることのなかった機材が数多くあります。それぞれの機材の役割や接続方法、トラブル時の対処法を覚えることも、CAとしての重要な仕事のひとつです。
最初は機材の名前を覚えるだけでも時間がかかりましたが、実際に手を動かしながら少しずつ知識を積み上げています。「これは何のためにあるのか」「どこにつながっているのか」を一つひとつ確認していくことで、現場全体の仕組みが少しずつ見えてくる感覚があります。
エンタメと報道で共通していること
現場の規模や機材の種類、求められる動き方には大きな違いがありますが、報道とエンタメに共通していることもあります。
それは、「準備が仕事の質を決める」ということです。
どれだけ本番中の対応力があっても、事前の機材チェックや段取り確認を怠れば、本番中のトラブルに直結します。報道現場では素早い対応が求められますが、その素早さも日頃の準備があってこそです。エンタメ現場では入念な事前準備が基本ですが、それも「本番を確実に成功させる」という目的から来ています。形は違っても、「準備を丁寧にやる」という姿勢の重要性はどちらの現場でも変わりません。
また、現場で働く人たちが「よいものを届けたい」という意識を持って動いているという点も、共通していると感じています。報道であれば正確な情報を、エンタメであれば見る人が楽しめる映像を。目指すものは異なりますが、映像を通して何かを届けようとする姿勢は、どの現場でも根底にあるものだと思います。
おわりに
報道現場とエンタメ現場では、仕事の進め方や必要な知識、チームの動き方に明確な違いがあります。どちらが優れているということではなく、それぞれの現場に合った動き方や考え方があるということを、実際に両方を経験して改めて感じました。
自分自身はまだ学んでいる途中です。新しい環境に入ることで見えてくることは多く、これからも現場での経験を積み重ねながら、対応できることの幅を広げていきたいと思っています。
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